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読書記録・お茶とくつろぎ・その他をおりまぜ綴る雑記ブログ

題名に釘付け 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 書評と感想

題名に共感😮

帯付に書いてあることが現状と一緒😵

 

気になって目次を開いたら

**「本が読めなかったから会社を辞めました」**

という前書きの言葉が飛び込んだ。

私も本が読めない現状が嫌で会社辞めたくなることあるよ!!

 

以前のように本を読む時間が圧倒的に減った。

確かに疲れているという理由もあるが、それ以上にスマホで漫画や動画など、どうでもいいことに時間を浪費してしまっている現状がある。薄々私も「本が読めない社会なんておかしい」(自分が好きなことに向き合えない毎日を送ることはおかしい)とは思っていたが、なんでスマホは見ちゃうのかな。ここだと、いろんな記事を読むことはできるのに・・・。

 

帯付のイラストが今の気持ち、現状にドンピシャでした!!

 

この本は大正時代から現在まで、本が大衆に読まれていく状況や、サラリーマンの読書や文化的な教養、学歴などをふくめた社会や考え方の移り変わりの考察がされ、それを踏まえた話の展開がされていく。現在はコントロールできないものは置いておき、コントロール出来るものに焦点をあて、そこを何とかしていくという視点にたっており、本離れと言われ本の売上総数は減っていても、自己啓発書だけはそういうわけではないことが語られる。

 

自己実現・自己責任の名のもとに向上心に燃えることはいいが、結局はコントロール出来る部分だけを何とかするために必要な、見たいものだけを見てそれ以外を受け入れられない(ノイズになるものは捨てる)ような考え方、そして効率を求めた余裕のない働き方と疲労の仕方をしており、本はスマホほど効率よく情報を集められるツールではないため、自分が欲しい情報・見たいものにすぐにアクセスできるスマホを見てしまう状態に。

また読書は他者の考え方、見方に向き合う行為なので、コントロール出来ない他者と向き合う読書はノイズと捉えられ、避けられる傾向に

速読を含めて様々な読書法の本もよく売れているが続かず、そのうち燃え尽き症候群うつ病を含めて心身ともにおかしくなってしまう。

本文中では『強制されているわけではないのに、日々の労働に全力を尽くし、自分を搾取してしまう』と書かれているが、全くその通りだと思う。

 

 

効率よく・手軽に・見たい情報にアクセス出来るスマホにズブズブ

 

最終章では「全身全霊をやめませんか」という章があり、今までの全身全霊で働くスタイルを半身で働くスタイルに変えてみてはどうかという提案がある。

 

引用を交えながらまとめると

『今まで「全身」で働く男性正規社員に固定費用とバッファとして残業代を払ってきたが、これからは「半身」で働くたくさんの多様な人に残業代なしで働いてもらう。同じ仕事をこなすにしても「全身」の男性雇用者5人より、「半身」の人種も年齢もジェンダーも多様な10人の仕事量を求めたほうが、ドロップアウト疲労や鬱や退職を防げるのではないだろうか』

 

そしてニーチェの言葉を引用した後(長くなるので割愛)

(ここからの『』は全て引用・読みやすいように改行してある)

『全身で一つの文章にコミットメントすることは、自分を忘れて自我を消失させて没頭することである。そういう瞬間が楽しいこともあるだろう。楽なこともあるだろう。私もそうだから、すごくよくわかる。

すぐに忙しくしたがるし、一つのことだけ頑張れたらどんなに楽だろう。仕事だけしていていいならどんなに、とよく思う。

反対に読書だけしていい日常だったら、どんなに楽しかっただろう、とよく夢想する。自分のことなんか忘れちゃいたい、没頭していたい。すっごくよくわかる。

しかし、ニーチェは首を振る。

そんなのは人生を信じていないのだ、と。

人生を信じることができれば、いつか死ぬ自分の人生をどうやって使うべきか、考えることができる。

瞼を開けて、夢を見る。

いつか死ぬ日のことを思いながら、私たちは自分の人生を生きる必要がある。

だからこそ、ニーチェは「自分を忘れるために激務に走るな」と言うのだ。

自分を覚えておくために、自分以外の人間を覚えておくために、私たちは半身社会を生きる必要がある。

疲れたら休むために。元気が出たら、もう一度歩きだすために。他人のケアをできる余裕を、残しておくために。仕事以外の、自分自身の人生をちゃんと考えられるように。他人の言葉を、読む余裕を持てるように、私たちはいつだって半身を残しておくべきではないだろうか。

働きながら本を読める社会。それは半身社会を生きることにほかならない。 』

 

書いてあることに、そうだそうだと思う。

(ここには書いてないけどニーチェも凄いな)

週休2日もいいが、どうして1日に8時間働かなくてはいけないのだろう。

1日24時間のうち、睡眠時間を8時間としたら残りの時間は16時間。

仕事(昼食休憩含む)で9時間、通勤で2時間で残りは5時間。

食事や支度・掃除・お風呂や洗濯、買い物などの日常のいろいろで3時間は消える。

自分に使えるのは2時間。これもあればいいところ。

残業やその時の疲労具合やハプニングですぐに消えるから。

こんな働き方に疑問を持ち続けていたため「うんうん」と頷いてしまった。 

 

本書の中の文章もピックアップしながら概要をまとめつつ感想を含めて書いたが

実際に手にとって読んでもらうことが一番と思うのでご興味の湧いた方は読んでみて下さい

あとがきには働きながら本を読むコツが書いてありますので、そこも参考になるかと思います。

 

 

私が購入した本には2024年5月で4刷と書いてあるので、私以外の人も同じ様に

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という題名や

帯付の「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」という文が心に刺さったのでしょう。